はまなす放談

HPのリニューアルを機にコラムを設けました。
定期的というわけではありませんが、時代に遅れないように“放談”します。

vol.05 2016年の話題

1. 地方創生。

2015年はまだロードショウの段階だが、来年は本格化するらしい。しかし予算のほとんどは各省庁の予算として組み込まれている。地方創生というお題目で自由に使える予算は極めて少ない。早刷の地方版総合戦略に手をあげたところには1,000万円程度。これでは調査費にしかならない。本気でやる気があるのかな?

①第三の矢はどこかにいってしまった。これまでの解釈だと、第三の矢=成長戦略だったが、あまり聞かなくなった。地方から第三の矢を放ってください!国の政策じゃないの?なにが第三の矢で、どう効いたのかの検証もないうちに、国レベルでは“新第三の矢”とか突然飛び出し、地方には自分でやれと指示。要するに、第三の矢は放たれなかったか、放たれても見当違いの方向に飛んだかだった。国の政策のいきづまりを地方に背負わせる。いつものパターンだ。
 隣の町が“戦略”を出して自分のところは出さないというのは首長にしてみれば格好が悪い。常になにかしているところを選挙民にも地方議会にも見せなければならない。だから手をあげざるをえない。
しかし、シャッター街をみて呆然としている現状から急に我がマチ再生プランが思い浮かぶわけもない。東京のコンサルタント会社にしてみればいい儲け話だけど、彼らとて妙案があるとも思えない。どこかの町のプランをこっそり焼き直して、少し変えて提案する。日本中から同じ作者のプランが多数提出される。

②人口の問題と成長戦略は違う。もちろん、重なる部分もある。生産年齢人口は人工的に修正・補正するのは難しい。社会的移動に頼れば、これはゼロサムゲームで近隣窮乏化政策だ。おらが町にすめばいくら、結婚したらいくら、子供が生まれたらいくらと補助金の競争をする。まるでふるさと納税の騒ぎと同じ。
人口は徐々に減っていく。しかし人はいきなり働けなくなる訳ではない。年齢によって職種を選んでいけば、案外高齢まで働ける。つまり人口の減る町でもやりようでは成長できる。

③地方が衰退し、大都市が繁栄するようになるというのは、資本主義の内在的傾向。ここ10年の中国をみればよい。都市の繁栄マイナス地方の衰退の式でプラスが残るというのが資本主義の繁栄方程式。東京は地震で危ないから、ここから脱出した方がよいとは思うが、そう簡単にはいかない。移住促進の一方でオリンピックをやるというのもどうかな。危ない都市に世界の人を集めてよいのかしら。
地方創生というなら、この資本主義の基本的な傾向をどう止めるかを考えねばならない。先の方程式を逆転して地方創生-大都市の縮小の値がプラスになるように大きな枠組みを変えなければならない。でも資本主義は大都市と心中するかもしれない。資本主事は“進化”し、それに伴って金融業が王者の産業となり、それは世界の巨大都市に集中している。リーマンショックはそれへの警告だ。

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これまで地方の再生のための政策・方針は何度も出現した。しかし一度も成功していない。一村一品も構造改革特区も、いくつかのミクロの成功例を示しただけ。使った時間と費用、そして今回もそうだが地方及び中央の役人の使ったエネルギーを考えたら大赤字だろう。
高齢化したら地方に住むのは難しい。うまく生き延びた人は良い医療機関に恵まれている。所得格差ではなく、医療格差がある。もちろんアメリカでは、高度の医療は高額だが、日本では月100円の保険で済む。優れた医療機関、そしてそこに接続する身近な医療機関が無い町には住まない方がよい。市町村の病院から医者が脱出している。給料はどこでも町長より高いが、眠る時間が無いし、専門以外の治療をしなくてはならない。
このまま放置して、私達、団塊の世代がいなくなるまで待つのもひとつの方向だが、すぐまたジュニアの高齢化が始まる。団塊第三世界がいないのは大問題だ。老いたジュニア世代の面倒をみる人がいない。福祉もパンク、国の財政は破綻。その頃日本は三流国になり今の水準からみればものすごい円安の可能性も。ということは輸入物価はすごく高くなっている。

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まずやるべきは、地方の物的なインフラの整備。そう!道路・交通。冬でも、大きな町に、つまり病院と買い物ができるところへ、安全にひとりで行けるようにする。まずコンクリート。そして人。冬の対策も重要。あとは助け合い機能のあるコミュニティ。“遠くの親類より隣人”とはよくいったもの。マザーテレサが言ったように、だれにもみとられないで死ぬ、のは不幸なのだ。

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2. TPP

 ついにTPPが妥結した。もうだめと思っていたから、各国担当者の交渉力は評価しなければならない。しかし、内容ははっきりしない。なにしろ、全体像は4年後にしか公表されない。主要5品目は守り切ったとか、そうでもないとか様々な情報が飛び交う。印象としては“アメリカ追随”が拭いきれない。
 輸入品が増えるのは目に見えている。それらに対して価格競争のない商品はダメになる。価格だけじゃない!その通りだけど、質で勝つ、つまり消費者に選ばれる商品づくりは短期間では難しい。高品質・ブランド化だが、たとえ、それがうまくいったとしても、それをどうやって世界の消費者に伝えるのか。テレビ広告は高いぞー。
 2016年から、外国品に置きかわるものが続々と出てくる。その分、輸出品も増える。差し引きプラスが残る。ほんとう!また、自由貿易で損する人はいないというのが伝統の理論だが、自由貿易の帰結による繁栄の前に、多くの崩れゆくものがあり、その中に人々の近未来の生活がある。  北海道はTPPで最も影響を受ける地域だ。マイナスの影響だ。当面の策でそれをどう緩和し、かつ中長期的に再生・創生を考える。これが課題だ。両者は切り離せない。原油安はすごい追い風になる。寒冷地のハンデを緩和する。また遠距離の暴力も和らげる。円安であらゆる輸入品が値上がりするところを原油安が補ってくれている。
 自然に人口が減るのを待つだけではなく、均衡がどこのあるのかを探るべきだろう。生き残りのための集中と選択は欠かせない。北海道が400万人になったとき、日本で住み易いところになっていれば、それでよいのである。
2015.11.20 濱田 康行

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